
【全体】
有効求人倍率:1.18(前年同月:1.25)
新規有効求人倍率:2.15(前年同月:2.27)
【パートタイムを除く常用(契約・派遣など)】
有効求人倍率:1.17(前年同月:1.24)
新規有効求人倍率:1.88(前年同月:2.01)
厚生労働省が発表した2026年3月の雇用統計によると、全国の有効求人倍率は1.18倍と、前月から0.01ポイント低下しました。新規有効求人倍率は2.15倍で、前月から0.05ポイント上昇しました。東京都の有効求人倍率は1.08倍(前年同月:1.12)、埼玉県は1.11倍(前年同月:1.22)となりました。
埼玉県の採用市場は、全国平均をやや下回り、前年同月の数値からも低下しています。
求人数は引き続き一定水準を維持しているものの、前年と比べると採用市場はやや落ち着きつつある状況といえます。
一方で、有効求人倍率が1倍を上回っていることから、求職者1人あたり複数の求人がある状態は続いており、企業間での人材確保競争は依然として発生しています。特に埼玉県は、東京都への通勤圏であることから人材の流動性が高く、採用条件や働きやすさ、通勤利便性などを踏まえた差別化が、今後の採用活動においてより重要になると考えられます。
2026年3月の求人倍率から見る、東京・埼玉の雇用市場動向
| 地域 | 有効求人倍率(2026年3月) | 前年同月比 | 前月比(2026年2月) |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 1.08倍 | -0.04ポイント | ±0.00ポイント |
| 埼玉県 | 1.11倍 | -0.11ポイント | +0.02ポイント |
東京都は前年同月比で0.04ポイント低下、前月比では横ばいとなっています。埼玉県は前年同月比で0.11ポイント低下し、前月比で0.02ポイント上昇となっています。
前月比では東京都が横ばい、埼玉県は0.02ポイント上昇しており、首都圏全体としては大きな変動はなく、比較的安定した推移となっています。一方で、前年同月比では東京都・埼玉県ともに求人倍率が低下しており、前年ほどの採用需要の強さはやや落ち着いてきた様子がうかがえます。
埼玉県は東京都を上回る1.11倍の有効求人倍率となっており、求職者1人に対して複数の求人がある状況は継続しています。企業にとっては、応募を集めるための条件設計や求人情報の見せ方の工夫に加え、これまで対象外としていた人材層にも目を向けるなど、柔軟な採用戦略が引き続き重要といえるでしょう。
常用雇用の動き(パートタイム除く)
常用雇用(パートタイムを除く正社員・契約社員など)における有効求人倍率は1.17倍(前年同月:1.24)、新規求人倍率は1.88倍(前年同月:2.01)と、いずれも前年同月を下回る結果となりました。
常用雇用における求人倍率は前年同月を下回っており、前年と比べると、企業の採用活動はやや落ち着きつつあり、採用計画を慎重に進める動きが見られます。
なお、有効求人倍率は1倍を上回る状況が続いており、企業の人材確保ニーズは一定水準を維持しています。今後は採用数の拡大だけを目指すのではなく、職種ごとの要件整理や採用手法の見直しがより重要になるでしょう。
新規求人倍率の変動に見る企業の採用姿勢
新規有効求人倍率は前月より0.05ポイント上昇し、2.15倍となりました。2倍を上回る水準が続いていることからも、企業の採用意欲は引き続き高い状況にあるといえます。
一方で、前年同月比では低下していることから、前年ほど積極的に新規求人を増やしている状況ではなく、採用活動はやや慎重さも見られます。すべての職種で一律に採用を進めるのではなく、優先度の高いポジションや欠員補充を中心に採用を行うなど、より効率を重視した動きが進んでいる可能性があります。
今後は、採用数の拡大だけを目的とするのではなく、募集条件の見直しや求人内容の具体化、選考スピードの改善などを通じて、限られた採用機会を確実な採用成果につなげる取り組みが重要になっていくでしょう。
埼玉県における人材採用の課題と対策
埼玉県の採用市場では、東京都へのアクセスの良さから、都内企業との人材獲得競争が起こりやすい点が特徴です。求職者が給与や働き方、企業知名度などを比較しやすく、人材が東京へ流出するケースも少なくありません。こうした環境から、埼玉県内の企業は応募獲得に向けた工夫が求められています。
また、埼玉県内でもエリアによって採用環境は大きく異なります。さいたま市・川口市・越谷市など東京都に近いエリアでは都内企業との人材獲得競争が起こりやすい一方、県北部や郊外エリアでは求職者数そのものが限られ、応募母数の確保が課題となるケースもあります。勤務地によって採用難易度が異なるため、地域特性を踏まえた採用設計が重要です。
さらに、埼玉県では製造業・物流業・建設業などの求人ニーズも高く、現場職を中心に慢性的な人手不足が続いています。同業他社との競争も発生しやすいため、従来の採用ターゲットだけでは応募確保が難しくなる可能性があります。
こうした状況の中では、給与などの条件面だけで競争するのではなく、自社で働く魅力を明確に伝えることが重要です。あわせて、勤務地に応じた訴求内容の見直しや、未経験者・シニア層・女性人材など採用ターゲットの拡大を進めることで、より安定した採用につなげやすくなるでしょう。
効果的な人材採用戦略の構築
有効求人倍率は大きな変動がなく推移している一方で、新規求人倍率は前月比で上昇しており、企業の採用意欲は引き続き一定水準を維持していることがうかがえます。ただし、前年同月比では低下していることから、採用数の拡大を優先するというよりも、必要な人材を効率的に確保しようとする動きが強まっていると考えられます。
こうした採用環境の中で成果を高めるためには、求人を出すだけの受け身の採用ではなく、自社に合った採用戦略を整理し、優先順位を明確にしながら進めることが重要です。具体的には、次のような取り組みが求められます。
- 採用ターゲットの明確化と、求める人材像の具体的な設定
- 競合他社との差別化要素の整理(勤務条件、職場環境、成長機会など)
- 多様な採用チャネルの活用(直接採用、人材紹介、派遣など)
- 選考プロセスの最適化と候補者への迅速なフィードバック
- 企業ブランディングの強化と、採用情報の効果的発信
- 既存社員の満足度向上によるリファラル採用の促進
求人倍率などの数値は市場全体の動向を把握するうえでは有効ですが、実際の採用成果は企業ごとの取り組みによって大きく左右されます。特に埼玉県では、東京企業との比較が発生しやすい環境だからこそ、通勤のしやすさや地域密着性、働きやすさといった自社ならではの魅力を具体的に伝えていくことが、採用成功につながる重要なポイントになるでしょう。
業界別の採用動向と特徴
埼玉県では、建設業における採用ニーズが引き続き高い状況が続いています。住宅開発やインフラ整備、物流施設の建設需要などを背景に、施工管理職や技能職を中心とした求人が継続しています。一方で、就業者の高齢化や若年層の担い手不足が課題となっており、経験者採用だけでなく、未経験人材の育成を前提とした採用を進める企業も増えています。
また、医療・介護業界でも継続的な人材需要が見られます。高齢化の進行に伴い、介護職や看護職、医療関連職の採用ニーズは高い水準にありますが、慢性的な人手不足が続いている状況です。給与や勤務条件だけでなく、働きやすい環境づくりや定着支援の強化が採用成功の重要なポイントとなっています。
こうした業界では、従来の採用手法だけでは人材確保が難しくなっており、未経験層の採用や教育体制の整備、多様な人材の受け入れなど、採用戦略の幅を広げる取り組みが今後さらに重要になると考えられます。
人材紹介・派遣会社の活用メリット
採用競争が続く中、企業が自社だけで安定的に人材を確保することは、以前より難しくなっています。特に、応募数の確保や採用工数の増加、専門人材の採用などに課題を抱える企業では、人材紹介会社や派遣会社といった外部サービスの活用も有効な手段のひとつです。
こうしたサービスを活用することで、採用業務の負担を軽減しながら、自社に合った人材と出会える可能性を高めることができます。企業が得られる主なメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 豊富な人材データベースによる精度の高いマッチング
- 採用プロセスの効率化と時間短縮
- 専門分野に特化した人材の紹介
- 採用コストの最適化
- 紹介予定派遣による雇用リスク軽減
- 市場動向に基づいた採用戦略アドバイス
特に埼玉県では、地域ごとの採用難易度の違いや東京との人材競争など、エリア特有の課題もあります。地域の雇用動向を理解している人材サービス会社と連携することで、採用効率の向上だけでなく、入社後の定着も見据えた採用活動につなげやすくなるでしょう。
今後の雇用市場予測と企業の対応策
埼玉県の雇用市場は、前年と比べて求人倍率にやや落ち着きが見られるものの、有効求人倍率は引き続き1倍を上回っており、人材確保の難しさは今後も続くと考えられます。特に、建設・医療・介護など人手不足が深刻な業界では、採用競争が継続する可能性が高いでしょう。
また、東京都との人材獲得競争や地域ごとの求職者数の差といった埼玉県特有の課題も引き続き意識する必要があります。こうした環境の中では、求人を出すだけの受け身の採用ではなく、自社に合った採用手法の見直しや、ターゲットの拡大など、柔軟な対応が求められます。
今後は、採用スピードの向上や訴求内容の改善に加え、入社後の定着や育成まで見据えた取り組みがより重要になるでしょう。働きやすい環境整備や教育体制の強化を進め、採用と定着を一体的に考えることが、安定した人材確保につながっていくと考えられます。
まとめ
2026年3月の雇用統計では、全国の有効求人倍率は前月比でわずかに低下した一方、新規有効求人倍率は上昇しました。前年同月比ではやや落ち着きが見られるものの、有効求人倍率は引き続き1倍を上回っており、企業の採用ニーズは一定水準を維持しています。東京都・埼玉県においても大きな変動はなく、企業間の人材確保競争は引き続き続いている状況です。
こうした環境では、求人を出すだけでは十分な応募につながりにくく、採用活動の工夫がこれまで以上に重要になります。求人内容の見直しや採用ターゲットの明確化、複数チャネルの活用を進めることで、自社に合った人材と出会う機会を広げやすくなるでしょう。
特に埼玉県の企業では、東京との人材競争や地域ごとの採用環境の違いを踏まえながら、採用後の定着や育成まで見据えた取り組みを進めることが、安定した人材確保につながると考えられます。
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